共通質保証基準の解説(参考和訳)
本ページでは、「共通質保証基準」の全文を、各基準に対する解説とともに掲載しています。
また、本基準を用いてプログラムの自己評価等を行う際の参考として、各基準を満たしていることを示す根拠や補足資料の例を「根拠資料の例」として提示しています。
また、本基準を用いてプログラムの自己評価等を行う際の参考として、各基準を満たしていることを示す根拠や補足資料の例を「根拠資料の例」として提示しています。
※2026年3月刊行「共通質保証基準解説資料(参考和訳)」より抜粋しています。
共通質保証基準
―アジアにおける大学間交流の質の高い連携促進に向けて―
A. 基本原則
中国、韓国、日本の政府間枠組みは、2011年以来、質保証を伴う大学間交流を推進し、成功を収めてきた。この枠組みをアジア全域に拡大するにあたり、参加大学は以下の基本原則を支持するとともに適切に履行することを約束する:
- 参加大学は、アジアの大学の国際競争力を高め、域内の相互理解や将来にわたる友好関係の基盤となる教育学術交流を促進するとともに、アジアの平和的発展を視野に入れたアジア諸国における大学間国際ネットワークを背景とした高等教育共同体の形成を目指す枠組みの理念に沿って、連携大学と協働して本枠組みの一員として実現に向けて貢献する。
- 参加大学は、アジアにおける質の高い高等教育を推進する枠組みの理念のもと、各高等教育システムの関連法令に従いつつ、社会の変化に柔軟に対応し、学生の学びの継続性を担保するために適切な体制と各種の支援策を整備したうえで、プログラムを提供することを保証する。
- 参加大学は、主たるステークホルダーである学生の選択に必要なプログラムに関する情報を提供するとともに、学生中心の原則に従い、学術の厳正性を確保しつつ、学生の利益と関心に沿った教育を提供する。
- 参加大学は、平等性、公平性、包摂性、多様性及び社会への開放性の原則に最大限配慮する。
B. 基準
参加大学は、アジアにおける国際的な大学間交流プログラムの一員として活動するにあたり、これらの基準を維持し、継続的に満たすよう努める。
- 1. 目的設定と共有
1.1 参加大学は、プログラムの目的や育成する人物像、知識・スキル・態度等の期待される学習成果を明確に定め、ステークホルダー間で共有している。また、参加大学は、目的設定の際に期待される社会的影響(インパクト)についても考慮に入れている。
| 解説 |
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| コンソーシアムが大学間交流プログラムを構築・運営する際には、参加大学がプログラムの目的、育成する人物像、期待される学習成果を明確に定義し、これらがステークホルダー間で共有されていることが重要である。期待される学習成果は、その測定方法や結果の共有に加え、カリキュラム設計、学生支援、内部質保証など、プログラム運営のあらゆる段階において、参加大学内で継続的に認識・重視されることが不可欠である。 ここで示すステークホルダーには、第一義的にはプログラムに参加する学生及び教職員、学内関係 組織、連携先高等教育機関関係者を指すが、プログラムに関係する組織や地域社会といった広義のアクターも含まれる。 なお、目的を設定する際には、プログラムの社会的影響(インパクト)についても考慮することが期待される。 |
| 根拠資料の例 |
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・海外連携校との協定書や覚書等の合意文書 ・プログラムウェブサイト ・シンポジウム等資料(開催案内やプログラム説明資料等、目的等の記載が確認できる資料) |
- 2. 実施体制
2.1 参加大学間でプログラムの運営体制や学生に対する責任、経費の分担等のプログラムの基本的方針を協定等により書面化している。
2.2 参加大学は、プログラムの実施・責任体制及び学内関係組織による支援体制を明確にしている。
2.3 参加大学は、プログラムの関係教職員が相互に協働し、プログラムを効果的かつ持続的に実施するための教学の体制を整備している。
2.4 参加大学は、プログラムの調整機能を適切に構築し、参加大学間の定期的な連絡調整の仕組みを整備している。
| 解説 |
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| 効果的なプログラム運営には、すべての参加機関が積極的に関与し、価値と責任を適切に共有することが不可欠である。また、実施体制を適切に構築する必要がある。プログラムの基本方針は、参加機関間で十分に協議した上で、書面による合意を通じて明文化することが求められる。 参加大学は、関連する学内部署と連携した包括的な支援体制を整備し、明確な運営及び説明責任の枠組みを構築するとともに、関係者が効果的に協働できる教学体制を確立することが期待される。さらに、日常的な課題に共同で対応するため、参加機関間で定期的な連絡・調整の仕組みを整備することが重要である。 また、国際対応能力を備える、専門性の高い教員の確保が不可欠である。プログラムを持続的に運営するためには、教員の積極的な参画を促すための支援や仕組みを整備することが求められる。 |
| 根拠資料の例 |
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・海外連携校との協定書や覚書等の合意文書※ ・国際戦略をまとめた資料 ・プログラムウェブサイト※ ・プログラムの実施体制(学内の支援体制を含む)が確認できる資料 ・プログラムの教学体制が確認できる資料 ・プログラムの調整機能が確認できる資料 |
- 3. カリキュラム
3.1 参加大学は、協働でプログラムの目的及び期待される学習成果を踏まえて、指導計画を含む適切なカリキュラムを構成している。
3.2 参加大学間の教員の協働に基づき、参加大学はカリキュラムを確実に提供している。その際に、対面型に加えオンライン型やオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型を含む多様な教授方法を効果的に用いる準備ができている。
3.3 参加大学は、授業内容、指導言語、講義方式、単位数、学生の学習量、期待される学習成果、成績評価方法等のカリキュラムや科目に関する詳細な情報を提供している。この情報は、シラバスやその他の補足資料に含まれており、学生が最新の情報を入手できる状態にしている。
| 解説 |
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| カリキュラムは、基準1.1で定めたプログラムの目的や期待される学習成果を踏まえて設計し、参加大学間の協働に基づき確実に提供されることが不可欠である。また、学生の学びの継続性を担保するため、柔軟で多様な教授法を活用できる体制を構築することも求められる。さらには、カリキュラムや科目に関する詳細な情報を、適切な文書に明記し、学生に最新の情報を提供することが重要である。 なお、情報提供にあたっては、適時性とアクセスの容易さも重要な要素である。 |
| 根拠資料の例 |
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・カリキュラム(又は研究指導)の内容や教授方法が確認できる資料 ・プログラム概要(パンフレット・ニュースレター等) ・シラバス・履修科目一覧 ・プログラムの学生募集要項 ・短期交流プログラムに関する資料 |
- 4. 学生の受入・派遣
4.1 参加大学は、プログラムの目的や学生が修得するであろう学習成果を考慮した上で学生受入・派遣の方針を協働で策定・運用しており、参加大学間でバランスのとれた学生の流動性を確保するよう努めている。
4.2 参加大学は、学生受入・派遣のプロセス(プログラムへの申請資格及び資格の承認を含む)を公平性・透明性に留意しつつ明確に定めており、学生の意思決定のための正確な情報を提供している。
| 解説 |
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| 参加大学は、基準1.1で定めたプログラムの目的や期待される学習成果に沿って、学生の受入・派遣の方針を策定・運用することが求められる。また、参加大学間で、バランスの取れた学生の流動性を確保することが望まれる。さらに、応募資格や資格の承認を含む、学生の受入・派遣のプロセスを明確に定め、公平性と透明性を確保し、学生が意思決定できるよう正確でタイムリーな情報を提供することが不可欠である。 |
| 根拠資料の例 |
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・海外連携校との協定書や覚書等の合意文書※ ・学生交流の実績 ・プログラムの学生募集要項※ ・ラーニングアグリーメント・研究計画書の様式 ・プログラムウェブサイト※ |
- 5. 学習・生活支援
5.1 参加大学は、プログラムの目的・内容を踏まえて、参加大学間で必要な学習支援策及び生活支援策について合意している。また、プログラム参加希望者及び参加者に対して各支援の内容を理解しやすい形で周知している。
5.2 参加大学は、合意した学習支援策を学生に対して適切に提供している。学習支援の例として、TAの配置を含む参加学生に対する指導体制の構築、履修ガイダンスや語学学習の提供、図書館・IT・実験施設等の十分な研究・学習環境の整備が挙げられる。
5.3 参加大学は、合意した生活支援策を学生に対して適切に提供している。生活支援の例として、経済的支援、住居支援、医療支援、オリエンテーションの実施、カウンセリング、地域とのつながりの支援、リスク管理が挙げられる。
5.4 参加大学は、プログラム内外の学生・修了者の交流を支援している。
| 解説 |
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| プログラムに参加する受入・派遣双方の学生に対する学習・生活支援は、参加前、参加中、参加後の各段階で多様な形で提供することが求められる。そのため、各段階においてどのような支援が必要となるかについて、参加大学間で認識を共有・合意し、適切に提供することが不可欠である。プログラム参加希望者及び参加者に対しては、各支援の内容を理解しやすい形で提供することが求められる。また、その際には、適時性とアクセシビリティについても配慮する必要がある。加えて、継続的な学生相談体制を整備することも有益である。 |
| 根拠資料の例 |
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・海外連携校との協定書や覚書等の合意文書※ ・プログラムの学生募集要項※ ・プログラム概要(パンフレット・ニュースレター等)※ ・プログラムウェブサイト※ ・学生生活案内 ・学生・修了生の交流状況がわかる資料 |
- 6. 学習成果
6.1 参加大学は、1.1で定めた学習成果の測定方法を適切に設定し、測定結果を参加大学間で適時に共有している。
| 解説 |
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| 参加大学は、基準1.1で定めた育成する人物像に基づき、参加学生の学習成果(知識・スキル・態度等)を測定するための適切な方法を構築し、測定結果を参加大学間で適時共有することが求められる。学習成果は、教科の専門能力と汎用的能力の両面から体系的に評価されることが望ましい。また、コンソーシアムレベルでの学習成果測定の枠組みを確立することが望ましい。さらに、学習成果がプログラム修了生の進路やキャリアパスに及ぼす影響をモニタリングするなど、中長期的なデータを蓄積・分析することも有益である。 |
| 根拠資料の例 |
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・学習成果の測定方法が確認できる資料(シラバス、学習到達度調査、ルーブリック 等) ・学習成果物(レポート、作品集、ポートフォリオ)のサンプル ・学生アンケートの概要とその結果が確認できる資料 |
- 7. 単位互換・学位の授与
7.1 参加大学間で各大学の単位制度について相互理解が図られ、単位互換や単位認定の取り決めを交わしている。
7.2 参加大学間で各大学の成績評価方法と基準を理解している。
7.3 参加大学は、学生が修得した単位・成績等の学習歴情報を透明性があり理解しやすい形で学生本人や相手大学に遅滞なく提供している。また、参加大学は参加大学間の合意に基づき、適切に学生の学業成績証明書等を管理している。
7.4 学位授与を伴うプログラムの場合、参加大学は、授与する学位の種類に応じた審査の体制、プロセス及び基準を適切に設定している。特にジョイント・ディグリー及びダブル・ディグリープログラムにおいては、参加大学間の合意に基づき、基準や審査の体制をプログラムの目的に応じて協働で整備し、適切に運営している。
| 解説 |
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| 単位互換の仕組みを構築するにあたっては、各大学の単位制度や成績評価方法を理解し、教育内容とその水準に留意しながら、参加大学間で単位互換や単位認定に関する取決めを明文化することが不可欠である。また、学生が単位互換制度を最大限活用できるよう、単位互換の対象となる科目を事前に明確に定義しておくことが重要である。例えば、単位互換の科目比較表を作成・公開することで、学生の科目選択が円滑になり、教員が単位互換時に科目の同等性を確認できるなど、プログラム全体の透明性の向上につながる。学生の学習歴情報は、学生本人や相手大学に透明性があり理解されやすい形で遅滞なく提供することが不可欠であり、また、参加大学は相互の合意に基づき、学業成績証明書等を適切に管理する必要がある。なお、学位授与を伴うプログラムの場合は、各プログラムの目的に応じて学位授与の方針や審査体制を整備し、適切に運営することが求められる。 |
| 根拠資料の例 |
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・海外連携校との協定書や覚書等の合意文書※ ・単位互換・認定に関する規定・ガイドライン ・成績評価の方法・基準に関する規定・ガイドライン ・プログラム概要(パンフレット等)※ ・学位授与を伴うプログラムの実施状況・交流実績 ・修了要件を定めた規定 ・当該学位の審査に係る体制・プロセス・基準が確認できる資料 |
- 8. 継続的な質の向上
8.1 参加大学は、責任を持つ実施主体を定めることを含め、プログラムの質向上の取組を主導するための効果的かつ継続的な内部質保証の体制を整備している。
8.2 参加大学は、6.1の方法により把握した学生の学習成果に関する情報を踏まえ教学の体制の改善に資する仕組みを整備している。
8.3 参加大学は、参加大学間の定期会合や、学生、その他のステークホルダーからの意見聴取等の手段を用いて課題を可視化し、プログラムの運営体制の改善策を検討するための内部質保証の手順を整備している。
8.4 参加大学間で整備した内部質保証の体制・手順が有効に機能している。
8.5参加大学間で協働して、プログラムの持続可能な運営を担保するための、財政面や人材面を含めた方策を検討する予定がある。
| 解説 |
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| プログラムの継続的な向上を図るには、参加大学間で十分に協議を行い、効果的な内部質保証の体制と手順を整備し、有効に機能させることが不可欠である。基準6.1の方法より把握した学生の学習成果に関する情報を活用し、期待される学習成果の達成状況を分析するとともに、学生をはじめとするステークホルダーからの意見聴取等の手法を通じて課題を可視化し、プログラムの継続的な向上につなげることが求められる。さらに、プログラムの持続可能性を確保するため、財政面や人材面等の方策を検討し、長期的な運営基盤を構築することが望まれる。 |
| 根拠資料の例 |
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・プログラムの内部質保証に関する規定や実施体制が確認できる資料 ・学生アンケートの概要とその結果が確認できる資料※ ・プログラム概要(パンフレット等)※ ・内部質保証活動の報告書 ・参加大学間で協議した課題等を改善への取組につなげていることが確認できる資料 |
- ※=既出資料
- [NOTE]
(備考)本基準は、高等教育及び大学間交流を取り巻く環境の変化に応じて、3~5年ごとに必要に応じて見直し、改定する。
